ヌッ

適当

「出会って四光年で合体」を読んだ

はじめに

直接的なネタバレは含まないように感想を書く。

TLで話題になっていて気になったので読んだ。
「エロ同人」なのだが「ハードSFだ」「民俗伝承だ」と言われている。
最近は民俗系ホラーをちょくちょく見ていて、それを期待して読んでいた。
自分の場合、SFも基本的に怖いものとして捉えているので怖いもの見たさがあった。

しかし内容としてはホラー要素はほとんどなく、むしろラブコメ、下ネタ、青春群像劇、の要素が強く、思った以上にポップだった。
それでいて期待していたSF、民俗要素は十二分にあった。(もちろんR-18でエロ要素はある)

いつものことだが、理解が追いついてなくても謎が徐々に明かされるストーリーは面白い。
以前読んだ本で村上春樹エヴァンゲリオンが人気なのは、考察の余白があるからだ、という話を読んだことがあるがそれに近しいものがある。

SFの怖さ

SFのイメージとして、時間や空間のスケールが大きすぎるというのがある。
そうすると大体永遠に近いときを生きる存在がいる。
僕はそういうのが怖い。例えば「5億年ボタン」のように、孤独で退屈なのが永遠に続くというのが怖い。
近い例だとALISONの「宇宙の死を見た不老不死」とか、一番トラウマなのは「ゼクレアトル」の終盤とか。

てっきり本作も主人公がそういう存在になってしまうのか……?と思っていたがそういうわけでもない。
神的存在はいるが良心があるというか、主人公は結局普通に老いて死ぬことができそうである。

主人公

主人公は初登場時点で11歳なのだが、この時点でchin先生の漫画に出てくる竿役みたいな顔をしている。
これはchin先生情報。

youtu.be

醜男……という表現なのだろうが、どちらかというと年齢の割に老けすぎている感じが否めない。
不幸なエピソードもあるが、友達と仲良く暮らすシーンも多くずっと不幸というわけでもない。
とにかく主人公が不幸、という作品は辟易するというか単純に嫌に気分になるのだが、本作はその辺の塩梅が丁度良い気がする。

主人公はコミュニケーションは得意でなく、頭も良くない。恐らく運動神経が良いわけでもない。
だがとにかく優しい。ヒロインのために頑張る、というのもそうだが、命を賭して動物を助けたり、親友のために本気で怒ったりしている。
その優しさがかっこいいし、魅力的だ。また、自分が勃起で感動した作品として「ゴールデンカムイ」と「愛のむきだし」があるが、本作品でも感動的な勃起シーンがある。

世界観・設定

なんといってもこの作品がすごいのは作り込まれた設定だろう。
劇中でところどころ解説があるが、宗教・経済・IT技術天文学に(たぶん)即した説明が含まれる。
そしてこれらが地続きに繋がるというのが良い。
例えば主人公の友人がリーマン予想の証明をして、実際には関係しないがRSA暗号が解かれたという噂が広まるというシーンとかには笑った。
またタイトルからして「出会って4秒で合体」をネタにしているが、「催眠アプリ」や「~しないと出られない部屋」についても独自の解釈があって面白い。

終わりに

自分は別にSFとかその辺に詳しいわけではないのだが、愛好家の人的にはどうなのだろうか。
エロ描写抜きでも面白いし、今後人気が出てOVA版が出たり、いつかfateや搾精病棟のように全年齢版が出るとかしないだろうか。
搾精病棟情報。同人界も努力、苦労があり奥深い世界のようだった。

youtu.be

ガッツリエロ同人ではあるし、誰にでも薦められる作品ではないのだが、単純に良い漫画だった。